このセクションは「受身動詞」というタイトルにしましたが、それが一番適切なタイトルではないような気がします。とにかく、皆さんが内容を理解していれば、それでいいんです。

まず、この例文をみてみましょう。

[Nihira ny “Ry Ziona” tany am-piangonana izahay omaly.]→「私達は昨日「リ・ジウナ」を教会で歌いました。」

例えば、「あなた達は何を歌いましたか」と聞きたいとき、[Nihira inona ianareo?]という言い方もできますが、マダガスカルでは一般的に
そういう言い方をせず、[Inona no nohirainareo?]という言い方をします。訳すると「あなた達に歌われたのは何ですか」。つまり、文が逆になって、動詞が受身動詞になります。[Nihira]は[Nohirainareo]に変ります。※答えは[”Ry Ziona” no nohirainay]になります。

また、「あなた達はどこで歌いましたか」という質問のとき、[Nihira taiza ianareo?]でも言えますが、[Taiza no nihiranareo?]という言い方が多く使われます。[Nihira]は[Nohirainareo]ではなく[Nihiranareo]に変ります。※答えは[Tany am-piangonana no nihiranay]になります。

ポイントは同じ受身動詞なのに、2パターンがあるということです。[Nohirainareo]と[Nihiranareo]です。最後の[nareo]は「あなた達に」という意味なので、動詞事体は[Nohiraina]と[Nihirana]です。最初のパターンは直接目的語が主語になったときに使います。後のパターンはそれ以外の目的語のときと考えていいです。

※直接目的語とは日本だと「を」を付く目的語と考えていいです。「リ・ジウナ」がそうです。後ろに「を」が付いていますから。直接目的語以外は「に」とか「で」とかが付く目的語です。「昨日」とか「教会」とかです。

ここで一番説明したいのは、その二つの受身動詞を基本形からどう作ればよいかです。


まず、その一つ目の「を」が付く目的語の受身動詞ですが、その中でも、【atao】と[iharana]という2種類の構成があります。一つの動詞はどちらかの種類にしか属していないと考えていいです。

[atao]の受身動詞はこう構成されています。

[a]+語根

例えば、
manao(する)の語根はtao[m+an+(t)ao]なので、受身動詞はataoになります。※種類名の意味ですね。
同じように、 mametraka(置く)、語根=petraka、受身動詞=apetraka
mivoaka(出る)またはmamoaka(出す)、語根=voaka、受身動詞=avoaka
manondrana(輸出する)、語根=ondrana、受身動詞=aondrana

[iharana]の場合はこういう構成です。

語根+[ina/ana] ※殆ど[ina]ですが、たまに[ana]があります。

例えば、
mihira(歌う)、語根=hira(歌)、受身動詞=hiraina
mamaky(読む)、語根=vaky、受身動詞=vakiana
manoratra(書く)、語根=soratra、受身動詞=soratana
milalao(遊ぶ)、語根=lalao(遊び)、受身動詞=lalaovina
mihaino(聴く)、語根=haino、受身動詞=henoina
mijery(みる)、語根=jery、受身動詞=jerena

気付いたと思いますが、【語根+[ina/ana]】という構成のままになっていない場合もあります。それは音をきれいにするためだけであって、基本の構成は変らないです。


次に、二つ目の「で」や「に」が付く目的語の受身動詞について説明します。構成はこうです。

[a/an/i]+語根+[ana]

これは覚えやすいです。基本形の構成は【[m/n/h]+[a/an/i]+語根】なので、先頭の[m/n/h]を取って、後ろに[ana]を付けるような感じです。

例えば、
mihira → ihirana
milalao → ilalaovana
manao → anaovana
mamaky → amakiana
mijery → ijerena
manoratra → anoratana


最後に、2点コメントします。

一つ目は過去形と将来形の構成についてです。上記説明したのが現在形です。過去形の場合は先頭に[no]または[n]を付けます。将来形は[ho]または[h]になります。先頭文字が母音の場合は[n/h]で、子音の場合は[no/ho]です。

例えば、
atao → natao / hatao
jerena → nojerena / hojerena
anoratana → nanoratana / hanoratana

二つ目は最初の説明にも出ましたが、後ろに主語が付いている状態がよくみられると思います。

例えば、
ataoko → 私がする ※私にされる
vakian-dRabe → Rabeさんが読む ※Rabeさんに読まれる
lalaovin’ ny ankizy → 子供達が遊ぶ ※子供達に遊ばれる

この主語の付け方は「〜の〜」と同じ仕組なので、【基礎(その2)】を参照してください。

以上です。